新着情報|お仏壇のよしまる
中陰の思想とは(下)

●次に百ヶ日に平等王~びょうどうおう~(本地は観世音菩薩)は、人々に素晴らしい教示を与え、総ての人が平等に清らかになったかどうかを確かめて下さるのです。

●一周忌には、都市王~としおう~(本地は大勢至菩薩)が法華経など、お経の功徳を授けて下さる。

●三回忌 五道転輪王~ごどうてんりんおう~(本地は阿弥陀如来)は衆生が浄土に生まれ変わることを決定してくれて、更に現世に残された人に対しても、守護して下さるのです。

 以上記述したように、中陰儀式のストーリーの中においてあらゆる病気も完全に治り、どんな大怪我でも元通りの身体になることができる。その上多くの菩薩や如来さまの教示を受け、人それぞれの資質に合わせた法力を身につけ、その法力によって残してきた家族に対し悪者に襲われないよう、人生道を迷わないよう、病気にならないよう、怪我をしないようなど、さまざまな守護ができるようになるのです。

 残された家族に対しては、厳しい言い方ですが亡くなった人に対し返って来て!と何千何万回となえてもそれは絶対に無理な事です。それよりも私達は今は淋しく悲しいけれど現世の苦からはなれ安らかに穏やかに住して下さいとご冥福をお祈りすることです。

 人間はあの世から何方でも母の胎内をを借りて生まれ、人間苦や人生苦の中にある五道(五趣ともいう)の修行をして、いつしかあの世に帰る訳です。あの世に帰る機縁は、それぞれ人智の及ばぬ宿命によるのです。その時四十九日、つまり中陰の儀式を受け仏道を行事して、等しく菩薩の位に入ることが誰もが辿る道なのです。どうか残された方々はそれで終わりと思わないでください。それこそが始まりと思ってお仏壇の前で自分を見つめ直し気を取り直して、強く現世のおつとめに励むことが亡くなった人や、自分自身に対する最大の供養になるのです。

 中陰の思想は、深い悲しみから自分を取り戻す教示であることを十王経は示しているのです。

 

※地蔵菩薩発心十王経は仏説ではなく、今から千年位前に中国で考え出され、それが日本に伝えられたものといわれています。

※本地とは、本来の境地・本欄では仏や菩薩を指します。

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